僕は嘘が嫌いだ。
特に、嘘を言うのが嫌いだ。
特に特に、誰かに好かれるための嘘を言うのが嫌いだ。
でも、僕は今日も嘘を吐く。あなたに好かれるために。
好きな人の好きなものが自分の好みじゃなかったとき。
イマイチだなと思いながら、「面白かったよ」って。
寂しくて仕方がない夜に、「大丈夫」って。
いつか終わる恋愛に、「別れないよ」って。
自分を守るために、あなたを守るために。
去年の僕には考えられないことだ。
愛し合うということは、全てを受け止めることと信じて。
彼女に全ての真実を背負わせた。
結果、壊れた。
彼女は沢山の嘘をしたためていた。
だから、僕は学んで、成長して、下手だけどごまかしの笑顔を覚えて、
あなたを今日も騙している。
あなたが笑ってくれたら、それでいい。
あなたが嘘でも笑ってくれたら、いつかそれが本物に変わるかもしれない。
あなたの偽りに僕は騙されて、幸せになったことだってきっとあるだろう。
すごいね。
僕もそうやって、あなたを騙せたらいいのに。
僕はそんな僕を好きになれない。
僕はそんなあなたを好きになれない。
これは、ただの愚痴だ。
行き場をなくした本音の、ただの掃き溜めだ。
僕が嘘をついて笑うとき、僕は幸せになれない。
でも、それでも明日も嘘を吐く。
嘘を吐いて守ったあなたの笑顔が、僕を幸せにしてくれるから。
その幸せは「本物」だから。
そういうことにしよう。
そうしよう。
僕は、嘘が嫌いだ。